ちょっと面白いお話

その3

 『入雛初日』

f:id:tamabukurotan:20180902210204p:plain

  毎月のようにひよこ達がピヨピヨ、鶏舎にやって来る。

前日に、卵から孵化したひよこ達。

 鶏舎に到着してしばらく、彼らに向かって声をかけてみる。手を叩き音

を出してみる。手招いてみる。注目を引くように指を動かしてみせる。

多くのひよこ達が一目散に、駆け寄って来る。

旧知であったかのように、無防備に近寄って来る。

音のする方へ、動いているものへと彼らは、めがけ向かって来る。

 親を求めるという『刷り込み現象』の一つの現れなのかも知れない。

 

 ところが翌日、鶏舎の中へ入ると、ひよこ達は一羽残らず逃げまわる。

音のするものから、動いているものから、一目散に逃げまわる。

おそらく、ある一定の時間が経つと、我が身を守ろうとする『防衛本能』が

芽生えて来るのだろう。

 もし誰かが、その『防衛本能』が芽生えるまで彼らと一緒に過ごしたと

したら、ひよこ達はその人間を親と認識するのだろうか?

面白そうだから、やってみようかな?