ちょっと面白いお話
その3
『入雛初日』
毎月のようにひよこ達がピヨピヨ、鶏舎にやって来る。
前日に、卵から孵化したひよこ達。
鶏舎に到着してしばらく、彼らに向かって声をかけてみる。手を叩き音
を出してみる。手招いてみる。注目を引くように指を動かしてみせる。
多くのひよこ達が一目散に、駆け寄って来る。
旧知であったかのように、無防備に近寄って来る。
音のする方へ、動いているものへと彼らは、めがけ向かって来る。
親を求めるという『刷り込み現象』の一つの現れなのかも知れない。
ところが翌日、鶏舎の中へ入ると、ひよこ達は一羽残らず逃げまわる。
音のするものから、動いているものから、一目散に逃げまわる。
おそらく、ある一定の時間が経つと、我が身を守ろうとする『防衛本能』が
芽生えて来るのだろう。
もし誰かが、その『防衛本能』が芽生えるまで彼らと一緒に過ごしたと
したら、ひよこ達はその人間を親と認識するのだろうか?
面白そうだから、やってみようかな?